研究課題
本年度の研究においては、公共領域における宗教の機能ということで、具体的には、第一に歴史的な研究として、ドイツとイギリスの歴史的な状況の分析を行い。19世紀から20世紀にかけての両国の社会と宗教との関係を公共性の議論との関連で研究を行った。第二にこの問題を今日の日本の精神的、政治的な状況との関連で具体的に考察するために、グローバリションによって生じる宗教の多元化の状況を日本のコンテクストの調査し、考えるためのツールの作成を行った。また第三に「公共領域における宗教」という問題を取り扱うための学際的な方法論の確立について、シンポジウムや研究会を主催し、議論した。以上のような問題と取り組みながら、具体的には以下の5点を取り扱い、論文にまとめた。1)ヴィルヘルム帝政期における宗教団体の政治政策について。とりわけこの時代の政治政策に具体的に関与したドイツ・ルター派の神学者のうちマルティン・ラーデとフリードリッヒ・ナウマンを取り上げて研究した。またその関連でカール・バルトのヴィルヘルム帝政期の見方を批判する論文を作成した。2)公共領域における宗教の機能についての考察のための方法論研究を行い、その成果を日本宗教学会の『宗教研究』に投稿し、掲載された。3)次年度行う、「グローバル化と宗教(1)公立学校の多国籍化と宗教の問題」というテーマのフィールド・ワークのためのチームの結成と準備のための研究会を行った。現在実際に行うアンケート調査の実施校の選定、またアンケートの分析方法などを検討している。4)日本におけるドイツ年のプログラムとして、聖学院大学総合研究所とF・エーベルト財団と共催で、「戦後60年--日本の場合とドイツの場合」というシンポジウムを行い、特に、両国の戦後60年の社会システムにおける宗教の問題を取り扱った。コーディネーターとして企画、司会、発題を行った。5)京都公共哲学フォーラムと共催で「公共する教会とは--公共世界における宗教の機能について」を行い、コーディネーターとして、企画、発題を行った。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
聖学院大学総合研究所紀要 35号
ページ: 204-253
聖学院大学総合研究所紀要 36巻
ページ: 376-402
宗教研究(日本宗教学会) 79巻346号
ページ: 269-292
公共的良識人 168号
ページ: 1-2
国際シンポジウム資料『戦後60年--ドイツと日本』
ページ: 91-103
450 Jhare Augsburger Religionsfrieden. Wissenschaftliches Symbosium und offentliche Vortrage, 21-24.September
ページ: 321-325