本研究では、従来、ほとんど手がつけられてこなかった日本におけるカトリシズムに基づく教育実践とその思想的背景となっている教育修道会・宣教会・教区・諸団体に関する歴史的資料について包括的に収集し、データベース化することを試みた。具体的には各学校の歴史資料に関するアンケート調査を全国のカトリック系の教育機関(小・中・高・専門学校・短大・大学)に実施し、また現在、入手可能な歴史資料の収集も同時に行い、そのデータベース化を行った。 また、日本のカトリシズム教育に関しては、プロテスタント教育の場合とは異なり、文献資料が限られていることから、主な学校及び教育修道会における聞き取り調査(北海道・東北・九州・関東)を併せて行い、各学校の草創期における地域社会との関わり及び修道会本国との関係についての確認作業を行った。それにあわせて、日本におけるカトリシズム教育の展開、及びその変容、さらには多文化社会において教育現場にたつ教員たちがその教育実践の中で直面している、宗教教育の現代的な課題について、個別の面接調査に加えて、宗教教育担当者たちの研修会等での参与観察を行い、広く検討した。 国際教育修道会に関しては、他国における実践例、とりわけフィリピンを母体とする修道会について、本国における教育実践との比較を行うための基礎資料の収集をフィリピンにて行った。
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