研究課題
基盤研究(C)
本研究は、アメリカ合衆国の宗教哲学界において一潮流を成すに至った改革派認識論に関し、その成立契機と社会的・文化的背景、諸理論と問題点の解明を目指したものである。改革派認識論はアメリカに移入されたオランダ新カルヴァン主義運動を母体とし、古典的基礎付け主義やそれに由来する無神論的証拠主義を論駁する意図をもって1980年代に登場した。主導者にはアルヴィン・プランティンガやニコラス・ウォルターストーブがいる。改革派認識論によれば、有神論的信念はキリスト者にとって適正に基本的であり、いかなる証拠によって基礎付けられていなくとも合理的である。また、キリスト教が真であると仮定すれば、キリスト教の諸信念は知識としての認識論的地位を保証されるという。改革派認識論の主要な目的は古典的キリスト教の合理的受容可能性を弁護することにある。キリスト教の合理的受容可能性を脅かしかねない問題とは、例えばこの世界における悪の存在や宗教的多元主義などである。「悪の論理的問題」に対してプランティンガらは「自由意志による弁護論」を展開した。その核心は「道徳上の悪を含んだ世界を創造することなしに、道徳上の善を含んだ世界を創造することは、神の力の及ぶ範囲内にはなかった」という主張が可能であると示すことにある。宗教的多元主義から投げ掛けられる「宗教の多元主義的状況は古典的キリスト教が真であると信ぜられる確率を減ずる」という挑戦と、「無数の多種多様な宗教に直面しながら或る特定の宗教的信念体系を抱き続けるのは道徳的に、或いは認識的に恣意的であり、傲慢ですらある」という批判に対し、プランティンガは「キリスト教の諸信念はキリスト者にとっては、他宗教の諸信念にはない保証、即ち知識の源泉を有しているので、両者は認識的に同等ではなく、前者を排他的に抱き続けるのは正当である」と応じている。
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基督教研究 69券2号
ページ: 1-22
Studies in Christianity Vol.69, No.2
基督教研究 67券2号
ページ: 31-45
基督教研究 68券2号
ページ: 1-20
Studies in Christianity Vol.67, No.2
Studies in Christianity Vol.68, No.2