研究課題/領域番号 |
17520062
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
勝又 悦子 同志社大学, 神学部, 嘱託講師 (60399045)
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研究分担者 |
石川 立 同志社大学, 神学部, 教授 (60288595)
中田 考 同志社大学, 神学部, 教授 (40274146)
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キーワード | 聖書解釈 / ユダヤ教 / ユダヤ教聖書解釈(ミドラシュ) / アラム語訳聖書(タルグム) / キリスト教 / イスラーム / 一神教 |
研究概要 |
初年度となる本年は、一次資料の読解、分析という基礎作業が中心となった。まず、本研究の中心となるラビ時代(紀元後〜3,4世紀)のユダヤ教の聖書解釈の概説書の邦訳し(来年度に刊行予定)、同時にキリスト教、イスラームの聖書解釈の概論を抑えた。文献分析は、ユダヤ教の聖書解釈伝統の中でも位置づけの難しいアラム語訳聖書(以下タルグム)の読解、分析を、ラビ・ユダヤ教聖書解釈(ミドラシュ)との詳細な比較を通して進めている(創世記、出エジプト記まで)。他の一神教における聖書解釈との比較の具体的テーマとして、天地創造、アブラハムの遍歴、イサク供儀、ヤコブによる12部族への祝福、海の歌他が考えられる。これらについてのタルグムとミドラシュの解釈は必ずしも一致せず、来年度以降、研究分担者と協同の上、キリスト教、イスラームにおける解釈伝統と付き合わせることで、三大一神教間のダイナミックな相互作用が明らかになるだろう。史的背景を探るために、ラビと異教徒(ミーニーム=ラビ・ユダヤ教時代のキリスト教徒を指すことが多い)との関係を考察した(来年度発表予定)。両者の間には聖典の解釈の権威をめぐる錯綜があったことが伺われ、ユダヤ教とキリスト教の聖書解釈の考える上で有益な示唆となる。また、ラビとタルグム制度を担ったメタルゲマンは一種緊張関係にあり、さらに、タルグム内での祭司像の分析から、タルグムがラビたちよりも、むしらラビと対立関係にあった祭司伝統の影響を大きく受けていることが予想された(来年度以降論文発表予定)。ヘブライ語聖書時代のエリート層であった祭司を、神殿なき時代に宗教伝統でどのように解釈したかも重要なテーマである。イスラエルに渡り、ユダヤ教の聖書解釈の原典資料、最新の二次文献など多数入手、また、ヘブライ大学のユダヤ教聖書解釈の権威であるシンアン教授との打ち合わせから多々有益なアドバイスを頂いた。
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