本年度は、四年間にわたる研究の二年目で、主として李氏朝鮮時代後期(十七世紀〜十八世紀)における漢訳西学書の所在状況に関する調査、分析と整理の年である。 そのために、できる限りの下調べを準備したうえ、8月16日から23日まで韓国での現地調査を実行した。朝鮮時代の王立図書館だった閨章閣(現在ソウル大学附属貴重書図書館)をはじめ、高麗大学、成均館大学などの諸図書館、そして国立中央図書館、韓国国立博物館、慶州科学技術博物館などで文献史料の調査を行い、又韓国の研究者(高麗大学の李漢燮教授、当時韓国科学技術院の研究員で、現在ソウル大学の林宗台教授など)と研究交流を行い、貴重な知見と体験を多く獲得していた。そして他方では、9月後半、別件の科研(分担研究)のため中国を訪れた機会を利用して、北京大学、中国自然史科学研究所でも文献調査および当地の関係学者(北京大学の董正華教授、自然史研究所の韓埼教授、復旦大学の李天綱教授など)との研究打ち合わせを行い、本年度の秋頃、在職校での国際研究集会を開いて研究の所見と討議とを行おうと予定していたが、結局上述した共同研究のメインの参加者の都合で例の研究集会を2007年6月末に延期された。 本年度は前年度の研究知見および上述の調査研究を踏まえて、後期朝鮮時代における漢訳西学書の有り様をまとめて公表すべく日々鋭意に取込んでいたが、諸般の事情でこの作業はまだ途中の段階であって、今年の六月の末に予定された研究集会にてまずその知見を発表して、そして討議などを通して活字して論文として公表していく。
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