研究課題/領域番号 |
17520068
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹下 政孝 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授 (30163398)
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研究分担者 |
鎌田 繁 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (70152840)
柳橋 博之 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 助教授 (70220192)
仁子 寿晴 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 助手 (10376519)
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キーワード | イスラーム / 法学 / 神学 / 哲学 / 神秘主義 / 預言者 / 奇跡 / 天国 |
研究概要 |
当初の研究計画にもとづいて、平成18年度の研究は、平成17年度の方針、すなわち本研究の主題「前近代イスラーム世界における権威的テキストの発生・注釈・伝播」に関する文献収集およびその分析、さらに法学・神秘主義・神学・哲学・シーア派思想など、個別的学問において「権威的テキスト」がどのような存在であるかに注視した研究の継続と、それらを統合する視点を探るという平成18年度固有の研究の二本立てで行われた。 前者の成果の一端が柳橋論文「バスラのズファル」、鎌田論文「幸福と哲学者の営み」、竹下論文「イブン・アラビー『叡智の宝石』注釈書の系譜」、仁子論文「イスラーム思想と中国思想の境界線」である。柳橋論文は法学派の権威的法学書においてその見解が採択されなかった人物がなぜそのように軽視されたのかを問うもの、鎌田論文はシーア派思想における権威的テキストでそれ以前の哲学思想が改変された、その意味合いを論じたものである。この二本はいわば権威的テキスト成立に関わる問題を扱っている。これに対して、竹下論文と仁子論文はともに権威的テキストがどのように読まれていったのかを扱っている。この二本はともに神秘主義の権威的テキストを主題としている。 後者に関しては共同討議を中心にこれら個別的学問を統合する視点を探る試みがなされたが、多種多様な意見が出され、まとまるまでには至らなかった。テストケースとして預言者・奇蹟・天国といったイスラームの根幹に関わる主題をもとに各学問を横断するのはどうかとの提案がなされ、それをまとめたものが共同討議取りまとめ役の竹下によって「預言者の奇跡について」「ムハンマドの奇跡とコーラン」「イスラームにおける天国の表象」として発表されている。
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