研究課題
基盤研究(C)
本研究はカッシーラー、ゲイなどの古典的な研究以後、大きく変化した国内外での啓蒙研究、科学史研究の現段階を踏まえつつ、申請者の従来の社会科学史研究、スコットランド啓蒙思想研究、ニュートン主義研究によって得られた知見をもとに、新しい視点から啓蒙とヨーロッパ近代思想の形成におけるニュートン主義の役割を再評価することを目的とした。具体的には、現代とは異なった自然科学と社会倫理との関係を描き出し、それをヨーロッパと同様に近代天文学と古代的伝統が交叉した18、9世紀東アジア思想の変容と比較検討することをめざした。その結果、啓蒙の自己言及的な理性がニュートン主義的世界像とかかわっていることを、以下のように明らかにした。ニュートン主義は厳密な科学的論証によって天体の運行には神の手が不可欠であることを示し、この新しい宇宙に創造神を呼び戻した。それは自然と社会とに関する言説空間がいまだ分節化されていない18世紀に、ボトム・アップ型の方法によって、自然と社会的倫理の総合を達成する方向を指示した点に意義を持っていた。ニュートン主義はヨーロッパの伝統知の再編を促し、結果的に近代思想の触媒となったのである。その背後には古代世界から継承された世界の複数性概念が、近代天文学の宇宙像によって復活したことが要因となっていた。ことを解明した。また本研究は江戸期日本のニュートン主義にも複数性概念があり、それが儒教的世界観と矛盾なく共存していた。
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HERSETEC 1, 1
ページ: 1-12
The Economic Science Vol. 54 No. 3
ページ: 1-24
The Economic Science Vol. 54, No. 3
経済科学 53巻3号
ページ: 1-17
Economic Science Vol. 53, No. 3