研究代表者による韓国を中心とした研究会・学会・国際シンポジウムへの参加と研究報告、韓国での文献・史料の収集と分析等が前半の研究の中心であった(研究代表者は平成19年9月まで韓国で学外研究に従事した)。具体的には、別記したような韓国を中心とした学会・研究会で基調講演・講演・研究報告を行った。また、研究の最終報告的な成果集として単行本の執筆を開始したが、本年度中には入稿し、有志社から刊行されるところまでこぎ着けた(『自他認識の思想史-日本ナショナリズムの生成と東アジア』仮題)。後期は、帰国し立命館大学で東アジア思想文化研究会を主宰し、研究の取りまとめを行った。具体的には、10月〜11月には、韓国での研究成果の報告を行うと同時に、12月には全北大学校の河宇鳳教授を招き、国際研究会を開催した(本科研費の一部使用)。平成20年1月〜3月には、研究会開催と並行して、研究の最終報告的な成果報告集を作成した。この他、後期には、立命館大学図書館、立命館大学人文系文献資料室等を中心とした文献目録の作成、その文献目録に基づく文献・史料の収集、複写、撮影、日・韓の研究者との情報交換に基づく文献・史料の収集、それらの一部のパソコン等への打ち込み等が実施された。こうした研究の結果、これまで別個に行われてきた18〜19世紀の日本思想史・朝鮮後期思想史について、共時的な思想空間内での動向としての記述に一つの目途を得て、近世帝国的自他認識から近代ナショナリズム生成への世界史的な思想動向と東アジアの関連について明らかにすることができた。儒学・国学(仙教)などが分析の中心となったが、日韓の近代学術に関わる問題として日本漢語の問題が浮上してきたが、この点は今後の課題となった。
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