研究概要 |
これまでの研究蓄積から、筑波大学付属図書館にて特別展『江戸前期の湯島聖堂』を成果として発表した。江戸前期狩野派と将軍家,ならびに林羅山との関係について資料の収集,江戸前期の儒教絵画における狩野派の制作手法について考察を進め,幕藩体制下におけるヒエラルキー生成過程を将軍家,思想家,絵師がどのよう関係したかを推論するため、美術史的な研究途次での成果を周辺諸学(造形、文化史、歴史学分野)の研究者とともに公開して学際的なレビューを得る,大学ならではの学術資料による研究のあり方を展覧会とした。会期中にはさまざまな研究交流があり,研究公開の新たなあり方が学外のかたにご理解いただき,また研究企画を提案できたことは大きな成果であった。 今年度に入ってからの調査研究では儒教聖堂のある閑谷学校、また初年度のため、研究指針を得るための文献調査等をおこなった。文献調査では学生の協力を得て、研究対象資料についてのデータの蓄積を進め、また儒教絵画に関する目録化のあり方について検討を行った。研究交流では特別展を通して互換的な調査研究情報を江戸東京博物館と組み、常設企画への協力、また斯文会(特別史跡湯島聖堂管理者)との学術交流を進めることとなった。 これらの研究交流が次年度への研究指針の主要な研究計画となり、あわせて一方では継続して儒教聖堂等に所蔵される資料調査、各地の地域文献、郷土資料文献等の文献調査を行い、研究蓄積を進めて行く計画である。
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