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2005 年度 実績報告書

古墳壁画の図像学

研究課題

研究課題/領域番号 17520080
研究種目

基盤研究(C)

研究機関神戸大学

研究代表者

百橋 明穂  神戸大学, 文学部, 教授 (30090377)

キーワード壁画 / 古墳 / 高松塚 / キトラ / 高句麗 / 古代 / 正倉院
研究概要

今年度は日本古代の壁画墓である高松塚・キトラ古墳の壁画に関して、その保存問題が大きく取り上げられた。また、その調査過程で貴重な新知見があり、その活動に参画した。研究課題がもっとも現代的要請にかなうことになった。それは壁画の置かれた状況をかなり緻密に判別しなければ保存対策も考えにくいことが明らかとなって、様々な提言をすることができた。
さて、一方壁画資料のもっとも豊富な中国の実情を調査した。まず、現在までに発掘されている壁画墓の資料をデータベース化した。発掘報告書などを参照にして、漢時代から魏晋南北朝・隋唐時代までのすべての作例を網羅した。総数三百以上の作例が上げられた。今後も発掘例が増加することは間違いないが、もっとも最近の正確なデータである。その分布や壁画内容の解析は次年度以降の課題としたい。
今年度の大きな調査活動は中国での協力者の協力を得て行った壁画墓の現地調査である。ことに従来から知られた北方地域の作例よりも、最近中原地方での発掘例が目につくようになっており、河南省・陝西省での、しかも隋唐時代ではなく、もっとも中華文化の基礎をなしたと思われる漢時代の壁画墓を中心に調査を行った。それによって中国における壁画墓の形成から魏晋南北朝・隋唐時代への変化と発展の系譜が明らかにできると考えているからである。中国大陸では壁画墓は北方地域にのみ存在しないと従来考えられているが、古代漢民族の文化の基礎をなした漢時代では、むしろ中原地方、ことに「楚」の国の文化地域にその原始的な萌芽が認められる。それがやがて北地域にひろがり、やがてむしろ北方騎馬民族の墓装形跡に影響を与え、壁画墓があたかも北方民族の固有の墓装形式であるかのような認められ方をするようになったのではないかと考える。この仮説を今後二年間かけて調査・証明したい。
これまでの研究成果はすでに鹿島美術財団の美術講演会や東京文化財研究所の国際コロキュアムで報告した。また文部科学省で行われた日本とイタリアとの壁画保存に関する専門家会議にも参加した。さらに原稿としては高句麗壁画古墳に関する論考や高松塚古墳壁画とキトラ古墳壁画に関する論文など、また日本古代の絵師と絵画制作の実態を考古学的資料と正倉院文書などを駆使して論じた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 日本の壁画-高松塚古墳・キトラ古墳-美術史学からの視点2005

    • 著者名/発表者名
      百橋 明穂
    • 雑誌名

      考古学ジャーナル 538

      ページ: 11-15

  • [雑誌論文] 東アジアの壁画芸術2005

    • 著者名/発表者名
      百橋 明穂
    • 雑誌名

      高句麗壁画古墳(共同通信社)

      ページ: 54-59

  • [図書] 『列島の古代史』5 専門技能と技術2006

    • 著者名/発表者名
      百橋 明穂
    • 総ページ数
      41
    • 出版者
      岩波書店

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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