• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2005 年度 実績報告書

サン・ルカ美術アカデミーの特質に関する実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17520087
研究種目

基盤研究(C)

研究機関宮城学院女子大学

研究代表者

森 雅彦  宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (90137612)

キーワードサン・ルカ美術アカデミー / ヴィルトゥオージ・アル・パンテオン / 展覧会
研究概要

本年度は、サン・ルカ美術アカデミーとパラレルな、同じローマのヴィルトゥオージ・アル・パンテオン同信会-今日の教皇庁美術・文学アカデミーの先駆-について、検討を進めた。この組織はデジデリオ・ディ・アディウトリオによって創設されたもので、1541年にパウルス3世から、サンタ・マリア・アド・マルティレス聖堂に礼拝堂と同信会を設立する認可を得たものである。
パンテオン会は芸術家を主要会員とした。その初期の活動家のひとりはフェデリコ・ズッカロであって、彼は1574年その会長になっている。他方、サン・ルカ美術アカデミー設立の法王教書は1577年、ズッカロ自身総裁となって活発な活動を始めるのは1593年のことで、彼の意欲的な活動はこうした同信会の体験とも無縁であるとは想像し難い。ズッカロ自身は聖ルカ画家組合から美術アカデミーへの転化を自覚していたばかりでなく、このパンテオン会のような同信会の存在をも意識しつつ、というよりも単なる同信会の枠にあきたらず、ローマにおける自立したアカデミーの確立を希求していたと想定すべきであろう。
この会に参加していた芸術家は数多い。有名な芸術家だけを挙げても、カミッロ・マリアーニ、ニコラ・コルディェ、グリエルモ・デッラ・ポルタ、ダニエレ・ダヴォルテッラ、シピオーネ・プルゾーネ、フランチェスコ・サルヴィアーティ、パリス・ノガリ、ロレンツォ・サバティーニ、ピエトロ・ロヴィアーレ、ジロラモ・ダ・カルピ、カヴァリエレ・ダルピーノ、ピッロ・リゴーリオ、バルトロメオ・バロニーノ、ヴィニョーラ、フラミニオ・ポンツィオ、マルティーノ・ロンギ、オッタヴィアーノ・マスケリーノなどを列挙しえる。またバロックの芸術家としても、ジョヴァンニ・バリオーネ、ジロラモ・ライナルディ、カルロ・ライナルディ、アルガルディ、ベルニーニ、モーキ、ボッロミーニ、ベラスケス、マッティア・プレーティ、ピエトロ・ダ・コルトーナ、ロマネッリ、グリマルディ、ランフランコ、カルロ・マラッタ、ブランディ、ガウッリ、クロード・ロラン、ヤン・ミエル、コンカ、ジャキント、ジュゼッペ・ゲッツィ、ピエル・レオーネ・ゲッツィ、コスタンツィなど主要な芸術家を網羅している。
さらに重要なことは、この同心会はサン・ルカ美術アカデミーを先駆するかのように、展覧会を主催していたことである。記録の再検討から、展覧会は1630年からの当初の30年間はほぼ毎年実施されていること、1660年からは不規則になっていき、1740年代になって多少行われ、やがて消えていったと判明した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 『アカデミーとフランス近代絵画』(翻訳)2005

    • 著者名/発表者名
      A.ボイム
    • 雑誌名

      解題:共犯関係としての前衛/アカデミスム(森 雅彦)

      ページ: 401-421

URL: 

公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi