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2007 年度 実績報告書

サン・ルカ美術アカデミーの特質に関する実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17520087
研究機関宮城学院女子大学

研究代表者

森 雅彦  宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (90137612)

キーワードサン・ルカ美術アカデミー
研究概要

サン・ルカ美術アカデミーの特質を浮き立たせるべく、当該アカデミーの規約に分析を加えた。検討の結果、もっとも重要と判断されたのは、1607年に纏められ、1609年に出版されたもので(Ordini dell' Academia de Pittoriet Scultori di Roma,Roma,1609.)、1613年にミラノに美術アカデミーを創設しようと腐心していたフェデリコ・ボッロメーオの問い合わせたのは、おそらくこの規定集のことだと考えられる。
ここではアカデミー会員として受理される美術家たちに「入会記念」として歴史主題に基づく作品の提出を要請するという、従来のギルド・システムと、後にフランスで確立する提出画の中間に位置する発想を打ち出し、またアカデミーにある研究資料の持ち出しを禁じている。聖ルカの祝祭日におけるアカデミーの活動を規定する発想もまた、美術アカデミー発展史における、17世紀前半の当該アカデミーの中間性を伺わせるといえよう。興味深いのは、アカデミーの名誉のために「いかなるアカデミー会員も、公の店で働くことはできないし、退会員や非アカデミー会員も、絵画商いをおこなうなどの……店で働くことはできない」、「いかなるローマの画家も、自作でなければ……絵画を引き写すことは禁じられる」といった画家たちの利害に関わる規定をしていることである。またアカデミー会員たちに、宗教美術を制作に留意するよう求め、「総裁は、それらをアカデミーに掛けさせる、設置させることに意を払うもの」とする、女性の場合は作品を提出すれば会員になれるものの、アカデミーには出席できない、「これはただ彼女らに名誉を付与するためであって、その作品は、上に名前を書いて、永久に保持される」といった、前近代でやがて一般化する制度システムを規定する一方、若い学習者に対し、総裁の許可なくして、「私宅ないしローマの他の隠れた場所で、素描をおこなうべく集まることは禁じられる」という独占主義の理念を打ち出している。これらを文字通り実行したとは考えられない。しかしこうして、17世紀中葉にパリに生まれた、絶対主義の美術アカデミーの原型は、これをローマに震源すると考えられてよい、と結論される。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 「外部」の声-チェリーニの『自伝』を中心に2007

    • 著者名/発表者名
      森 雅彦
    • 雑誌名

      『西洋美術研究』 13

      ページ: 121-137

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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