我が国で星曼荼羅が盛んに制作された平安時代後期から鎌倉時代前期(12〜13世紀)の西洋の十二宮の図像と星曼茶羅の図像との比較をおこなうため、フランスのシャルトル大聖堂西正面左扉口のアーキヴォルトの十二宮浮彫と堂内のステンドグラスの十二宮ならびにアミアン大聖堂の西正面左扉口側壁の十二宮浮彫を調査し、写真撮影をおこなった。星曼荼羅に描かれた十二宮は西洋天文学ならびに西洋占星術の影響によることは明らかであるが、その影響関係を具体的に解明するためには、より広範な関連文献の調査・検討が必要であり、この問題は引き続き検討したい。 また、昨年度に引き続き、星曼荼羅の画像データベース作成の基礎となる映像資料の収集のため、新たに三重・西蓮寺、三重・法住院ならびに群馬・長楽寺所蔵の星曼荼羅を調査し、写真撮影をおこなった。御物の星曼荼羅については管理者の宮内庁三の丸尚蔵館よりカラーポジの提供を受けて、画像データベース作成に供した。特に三重・法住院の星曼荼羅は四重院から構成され、その第四院の図像は三十六禽と推測されるが、経儀に記された名称と符号しない図像的特徴をもっていることが確認された。名称比定を含め、図像の意味の解明は今後の大きな検討課題である。 星曼荼羅の構成要素と構図に関して、大阪・久米田寺所蔵の星曼荼羅を中心に再整理し、本報告書の11.研究発表(平成19年度の研究成果)に掲出した論文にまとめた。この過程で、星曼荼羅の主要構成要素である北斗七星の意味づけについて十分解明できなかったので、この点については引き読き考察を加えたい。 未だ調査ならびに写真撮影について許可を得ることができていない作例については、所蔵者へ引き続き交渉をおこない、許可が得られるよう努力する。
|