「第一部研究編」の「第一章佐々木喜善研究」は、本研究に関わる直接的な文章を掲載した。『遠野物語』誕生までの階梯を追い、『奥州のザシキワラシの話』『老媼夜譚』を再評価した。さらに、草創期の民俗学のラジオ放送を論証し、宮沢賢治と『遠野物語』や佐々木喜善の関係に言及、『聴耳草紙』の原資料を分析した。 「第二章柳田国男研究」は、佐々木喜善との関係やその広がりに関する文章を入れた。柳田国男の伝説に関する認識の変遷を追い、講演の際に見つかった新資料を分析した。さらに、金田一京助と柳田国男の関係をたどり、『遠野物語』と『雪国の春』から津波に対する認識を分析した。 「第三章町づくりと観光と」は、佐々木喜善の暮らした遠野郷の町づくりや観光への展開を述べた文章を掲載した。博物館と地域の関係について述べ、遠野の歴史と現在を文化と観光の側面から分析し、町場の地域づくりと『遠野町物語』執筆を呼びかけた。 「第四章昔話その他」は、佐々木喜善が取り組んだ昔話研究とその周辺の文章を入れた。文化財や民俗写真、さらには佐々木喜善が発掘した昔話世界の継承について述べ、草創期の昔話採集とその活用について提言した。 「第二部資料編」には、佐々木喜善旧蔵資料のうち、「第一章単行本目録」「第二章雑誌目録」を収録した。遠野市立博物館で作成したデータであり、本研究の基礎作業になる。
|