『早稲田文学』など、中央の雑誌において、関西の文学に関する言及がどれくらい見られるかを調査した。予想外に多いという結果が現れた。そのことを通して、中央側の評価と関西側のそれとにどれくらいのずれがあるのかを検討するという課題が浮かび上がった。また、従来知られていなかった文献の存在も浮かび上がった。それらについては、現状では所在がつかめないが、様々な雑誌の広告欄に当たることによって、目次のようなものを確認することが出来るものもあった。 ある程度名前が知られていた文献(「浪花文学」・「大阪文芸」)についても、所在が分散しており、すべてを視野に入れることは困難であった。そのため、国会図書館や天理大学の文献複写依頼、東京大学明治新聞雑誌文庫や日本近代文学館に出向いての調査を行った。その結果、ほぼ全容を明らかにすることが出来た。さらに、この調査の過程で、従来知られていなかった資料である、『大阪文芸新聞』、『文薬倶楽部』(京都で発刊)を見つけ出すことが出来た。更なる存在の探求の可能性が生まれたことになる。 また、関西に基盤を置いた作家の単行本については、国会図書館などで所蔵されていないもの=見ることが出来ないものを、各種の古書目録やインターネットを使って明らかにし、可能な範囲で購入した。インターネットや文献複写(この場合は全体の半分以下しか閲覧できない)と合わせると、各作家について、かなりの資料が整うこととなった。また、関西の出版社についても検討する手がかりとなると考えられる。
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