本年度は、A:目録作成、B:資料研究を以下の通り実施するとともに、成果報告書を作成した。 A目録作成(図書整理、データ入力、データ整理、目録作成) a寄託図書各点書誌データのパソコン入力。(研究担当者+作業補助(院生10名)) b目録作成[入力データの点検/データの集積、整理、統一/領域別目録作成(研究担当者) ※本年度、全点のデータ入力を終了し、それらを集積、整理、類別した。その結果、澤井常四郎・花井卓蔵らの寄贈書を柱とする寄託図書には、明治初年から昭和戦前期におよぶ教科書(含む、教授資料、参考書)、法令や法律関連の貴重な書籍を多く含むことが判明した。高楠順次郎旧蔵書には各処から寄贈された書籍が含まれ、高楠の交友関係を窺わせている。また、昭和戦前期の「圖書館優先配給圖書」も大量に含まれ、戦時下の地方図書館の蔵書内容、メディアとしての役割を伝えている。それらの実情に鑑み、目録では単行書について教育関連・法令関連・報告書・伝記・地域資料・写真集・その他の類別を施した。 B資料研究 a教科書の端本資料および関連資料調査。(国立教育政策研究所、東書文庫。研究担当者) ※本調査を利用した研究の一事例として、明治期教科書に採録された今昔物語集話題を考察した。その結果、明治期の今昔物語集享受の実態が判明し、享受史をめぐる通説に見直しをせまることとなった。詳細は『国語教育研究』49および歴史文化ライブラリー『今昔物語集を読む』(吉川弘文館)に発表したが、本年6月、熊本大学で開催の説話文学会における講演でも紹介する。 ◎成果報告書 3年間にわたる研究のとりまとめとして「成果報告書」(目録及び貴重書紹介論考)を作成した。なお、報告書掲載の目録には書名・著者・発行年・発行所のみを記し、詳細はCD版で報告した。
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