研究課題
基盤研究(C)
本研究は、第一義的には、広島県三原市立図書館旧蔵寄託図書の整理と目録作成を目的とし、もって近代文化史研究(なかでもカルチュラル・スタディーズ)における資料整備をはかるところにある。そして、これをもとに、明治〜昭和戦前期の地方図書館所蔵図書の概要、ひいては同期の地方文化、社会教育の実態を明らかにすることで、近代の地域社会那はぐくんだ知の様態をうかがい、加えて、これらの豊富な近代テキストを領域横断的に解読、考察しつつ近代の言説(M・フーコー)のいくつかを洗い出し、各テキストの言述のあり様(=表象行為=物語行為=言語行為過程における諸言説との関係性)を分析することで、研究代表者の当面の課題である言述研究(概要は小著『言述論(discours) for説話集論』[笠間書院、平成15年5月刊」を参照されたい)を近代にまで拡張することをもねらっている。平成17年から同19年にわたる本補助金の交付を得て、図書の整理を終え、各資料について詳細な書誌をとることができた。その成果は、成果報告書に簡易費録の形で、また印記、旧蔵者情報、教科書類に見られる書き込みなどの詳細書誌は添付CDの形で示した。この3年閲に新たな寄託を受けた図書については組み込むことが出来なかったが、引き続き修訂版を作成して公表し、近代地域社会の知の様態をうかがう研究への寄与につとめたい。研究の今ひとつの柱である言述研究は、後掲「研究発表」記載論文のほか、本研究で得た知見を間接的に利用した論文等を通じて、大きな成果を上げることができた(詳細は成果報告書に示した一覧に拠られたい)。目録が完成して輪郭が見えた今、本寄託図書の質の高さもあって、近代目本の言説空間をより具体的に記述することが可能となった。特に、明治期の基督教関連資料、昭和戦前期に政府、外務省、陸軍省等が発行したパンフレットは量的にも恵まれており、それらを使った言説研究、言述研究を次なる課題としたい。
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国語教育研究 49
ページ: 57-68
Kokugokyoiku-keakyu 49
Problematique 別巻2
ページ: 171-209
Problematique, supplementary vol. 2
Problematique IV
ページ: 134-209
Problematique 4