調査、資料収集に当たっては、「東京曙新聞」「東京絵入新聞」「大阪日報」「有喜世新聞」「いろは新聞」「絵入自由新聞」「自由燈」などは、研究補助者の協力を得て、ほぼ完了した。しかし、まだ多くの新聞資料の収集が残されてしまったのは、残念である。 連載記事の年表化に当たっては、「日新真事誌」「郵便報知新聞」「朝野新聞」「読売新聞」「東京絵入新聞」「仮名読新聞」について、明治一〇年代までを見通す年表ができた。 これによって「大新聞」と呼ばれる新聞にも、「郵便報知新聞」「朝野新聞」などは、雑報記事を連載していることが判明した。しかも、「郵便報知新聞」の娯楽化の方向に対して、「朝野新聞」は明治一八年の紙面改革までは、新聞紙面の娯楽化が進んでいなかったことも分かった。 総じて、明治一〇年代末期に、長編の雑報連載や小説が新聞紙面に掲載されるようになったといえる。その契機となったと思われる、政党系小新聞の年表ができなかったのが惜しまれるが、今後の課題としたい。
|