研究課題/領域番号 |
17520126
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
松村 友視 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (20181753)
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研究分担者 |
杉野 元子 慶應義塾大学, 文学部, 助教授 (70226447)
紅野 謙介 日本大学, 文理学部, 教授 (20195671)
五味渕 典嗣 大妻女子大学, 文学部, 専任講師 (10433707)
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キーワード | 日本語文学 / メディア論 / ジャーナリズム / 旧植民地 / 出版研究 |
研究概要 |
本研究課題の2年目にあたる本年度は、本格的な研究成果発信に向けた離陸期と位置づけ、以下の活動を行った。 (1)主に松村が指導する大学院生が中心となり、改造社の経営状況にかかわる資料の検討と分析を進めた。とくに、日中戦争期以後の改造社の印税支払記録については翻刻が終了しており、近く公表が予定されている。 (2)本資料体の持つ多様な可能性に鑑み、参加者各自の問題意識を深めることを目的に、3度にわたって、公開の研究集会を開催した。昨年6月には、日比嘉高氏(京都教育大)、テッド・マック氏(ワシントン大学)をお招きし、北米・南米地域での日本語書籍の流通と受容について、それぞれ現時点での研究の成果をお話しいただいた。9月の研究集会では、研究協力者である浅岡邦雄氏の報告がなされた。氏は、現在、戦前期内務省での検閲にかんする調査・研究を進めており、当時にあって代表的な左翼系出版社と目されていた改造社が、どんな相手と・いかなる交渉を行っていたのか、その一端が明らかにされた。本年2月には、同じく改造社にかんする研究を進めている、庄司達也氏(東京成徳大学)を中心とするグループ(課題番号17520125「出版メディアによる<大衆>の獲得--1920年代の「改造」の戦略と文学・映像・アジア」)との合同研究報告会を開催、改造社が企画・編纂した「円本」にかんするメディア・イベントや、大量出版された「円本」の流通の問題について、最新の出版研究の知見を交差させつつ、活発な議論が展開された。 (3)山本文庫(仮称)の構築作業。旧改造社蔵書のうち、初代社主・山本実彦とかかわりの深い資料にかんして、慶應義塾大学三田図書館での所蔵・公開を予定している。本年度は、主に逐次刊行物について状況の調査を行い、寄贈に向けた準備作業を行った。次年度早々にも、単行本の整理と目録作成に着手する予定である。
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