研究課題/領域番号 |
17520127
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
渡邉 正彦 玉川大学, 文学部, 助教授 (40259065)
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研究分担者 |
石川 巧 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 助教授 (60253176)
藤井 淑禎 立教大学, 文学部, 教授 (30132252)
瀧田 浩 二松学舎大学, 文学部, 講師 (30299888)
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キーワード | 文学一般 / 国文学 / 比較文学 / 国際情報交換 / 中国 |
研究概要 |
福岡、東京に散らばるメンバーは研究実施計画にのっとり、役割分担領域に関する基礎的なデーター収集を行った。また、7月、11月、2月、3月には、各自得られた成果を元にして研究会を行い、そこで交わされた相互批評により、研究全体の方向性を確認することが出来たと考えている。現段階で、渡辺はベストセラーとなったにもかかわらず、小林秀雄「考へるヒント」をめぐって当代の評壇から言及が少ない点を梃子として、その当時の一般読者の実像について考察中である。石川は、「大学」をめぐる当代の言説を詳細に調査し、現在から当代を回想したところに立ち上がる懐古趣味的な思い出を拒絶して、リアルに時代を再現すべく、さらにジャンルを広げて調査を継続している。藤井は「内向の世代」の作家たちが注目を浴びた当時、その裾野領域にあった同人系雑誌の動向を洗い出す中で、特に総評系と国鉄系の同人雑誌に着目し、それらの小説の題材が変容していく過程の背後に高度経済成長期の影を追っている。瀧田は、当代の日本の流行音楽の変容過程をカバーポップス以後、日本の歌謡曲が洋楽の影響を受け、若者向けとして分化していく過程からフォークとロックの確立していく時期としてとらえ、それを基盤として高度経済成長期を迎えている現在の中国の流行歌との偏差をあぶりだそうと試みている。 総じて本研究では、高度経済成長期の渦中の一般大衆の像を描き出していく方向に向かっており、当初の目論見がより具体化されていったことが、この1年の成果であったと考える。今後、中国の現状との比較を本格化させていく必要があり、その一貫として、研究協力者として様々な情報を提供してくれている王成氏を、北京に訪問することを18年度は計画している。
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