|
研究計画調書に「研究目的」として述べたとおり、日本の近代における西洋音楽の移入による文化基盤の変化について、近代文化を広い裾野で支えていたバラエティーあふれる雑誌文化の側面から明らかにすることを試みた。本年度は、研究計画調書の「研究計画・方法」に基づき、二年の研究期間のうち、一年目の基礎的かつ具体的な作業として、西洋音楽およびオペラ関係のあらゆる雑誌記事を収集する作業から始めた。資料が膨大な量に上ることが想定されることから、一八六七年(明治元年)から一九四五年(終戦時)までの雑誌を対象とすることとし、この期間の総合雑誌・文芸雑誌等の音楽関係雑誌を渉猟しつつある。
具体的には、東京の日本近代文学館や日本近代音楽館、神奈川近代文学館などに出張し、所蔵雑誌について資料調査を行った。同時に、同志社大学図書館および大阪府立中央図書館等の近隣図書館架蔵の資料についても同様の調査を行っている。また、近代雑誌の目録や、入手が困難な雑誌本体、また国内外の公演パンフレットなどの資料を、随時購入した。
これら収集した雑誌記事については、目録として著者名・記事名・掲載雑誌名・発表年月についてのデータベース化をはかると共に、雑誌記事自体も画像保存、すなわち、設備備品として導入したスキャナーにより、パーソナルコンピュータに取り込み、PDFファイル化した。また、禁帯出の貴重雑誌が多いために、デジタルカメラで撮影し保存したものもある。現在、これらについて、デジタル上の記事集成を構築する途上にある。検索の簡便化と資料構築の利便性から、外付記憶媒体(ハードディスク)をも導入し、一括管理している。
また、西洋音楽およびオペラ関係の図書についても、文献目録として整理する作業を進めている。これらはすべて、信頼性の確保のため、書籍原本を確認できたものに限って行っている。所蔵確認の困難なものについては、随時購入した。また、目録作成に必要な知識を得るための書籍も購入した。
|
