研究課題/領域番号 |
17520132
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研究機関 | 就実大学 |
研究代表者 |
川崎 剛志 就実大学, 人文科学部, 教授 (70281524)
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研究分担者 |
曽根 正人 就実大学, 人文科学部, 教授 (70368695)
佐藤 明浩 都留文科大学, 文学部, 教授 (20225915)
近本 謙介 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (90278870)
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キーワード | 行尊 / 修験道 / 天台宗寺門派 / 院政 / 熊野御幸 |
研究概要 |
まず行尊の伝記研究の成果として、川崎が史実研究と偶像研究のいずれにも資する形式の「行尊年譜(稿)」を作成した(『研究成果報告書』)。具体的には、調査対象を、当時の公家日記(『殿暦』『中右記』『長秋記』『永昌記』)、室町期以前の天台宗寺門派の伝記(『三井往生伝』『寺門高僧記』『寺門伝記補録』)、他宗伝記(『真言伝』『元事釈書』)、関連資料に大別した上で、どのような性格の資料にどのような事跡が記録されているかが一覧できるような形式の年譜を作成した。これにより、例えば天台宗寺門派では長承三年(1134)の園城寺金堂再興供養を最高潮とするかたちで行尊伝が構成されていることが判明した。 また伝記研究の一環として、本研究の構成員を中心に『三井往生伝』『寺門高僧記』の輪読を進めてきた。その成果の一部として、曽根の指導のもと長塩智恵が『寺門高僧記』の通仁親王蘇生譚に関する研究ノートをまとめた(『研究成果報告書』)。 次に行尊の詠歌研究の成果として、佐藤が行尊の各歌表現を和歌史上に位置づける論考を発表した(『研究成果報告書』)。行尊の各歌表現は同時代のそれと共通するところが多く、特異な体験によって裏打ちされた特徴的な表現が微温的な形で現れている、というのが結論である。 このほか、行尊が活躍したのと同時期、院政期における他宗の山岳信仰に目を配るなかで、川碕が興福寺僧による葛木峯=金剛山信仰の重要性に気づき、蔵俊-覚憲-貞慶と続く師弟を中核とするその信仰の展開を跡付けた(研究発表欄参照)。
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