研究課題/領域番号 |
17520139
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
吉田 徹也 北海道大学, 言語文化部, 教授 (80003531)
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研究分担者 |
佐藤 拓夫 北海道大学, 言語文化部, 教授 (20091457)
高橋 吉文 北海道大学, 言語文化部, 教授 (20091473)
山田 貞三 北海道大学, 文学研究科, 教授 (50128237)
鈴木 純一 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (30216395)
西村 龍一 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (10241390)
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キーワード | 独文学 / 社会学 / 思想史 / 文学論 / 芸術諸学 / メタファー |
研究概要 |
本年度は研究計画に従い「メタ思考」と「メタファー」の構造に関する暫定的な理論仮説を立てることを目標に研究を進めた。その際、両者を直接的に理論的研究対象とする修辞学・メタファー論等の研究史の検討のみならず、周辺領域における関連理論を幅広く取り上げ、構造の類似性等で有効性が認められるものを比較考量し、諸理論の配置を暫定的に整理した。具体的には、ヴァインリヒ等の古典的な隠喩論およびリクール等の現代的な隠喩論の「メタ思考」観点からの構造分析と比較整理、エクリチュール論・テクスト論・批評理論等の現代文芸理論に現れるメタファー現象の構造分析と理論の「メタ」性の抽出、さらには社会システム理論・認知理論・情報処理理論等の周辺領域に見られるメタファー的思考および対象に対する「メタ観察」構造の分析をおこなった。その結果、統一理論を立てるまでにはいたっていないが、共通するメタ思考の構造類型を暫定的に整理することが可能になった。また、具体的なメタファー表現作品の分析として、映画・映像・写真・絵画・アニメ等の視覚的なイメージにおけるメタファー性を取り上げ、近年の新しいデジタル・メディア技術を用いたコンピュータ処理や編集の方法が検討された。このような新たな表現処理の方向性が、美学的な領域に従来と異なるメタファー感覚あるいはメタ思考の可能性を切り開いているかという問いについては、結論を出すにはまだ不確定な要素が多く、また検討すべき課題が数多く残っており、次年度以降も継続する研究テーマとして扱うこととした。
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