研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、ジョン・クレランドの『ファニー・ヒル』を生み出した18世紀イギリスにおける階級・人種・ジェンダーの問題意識を明らかにし、ポルノグラフィーに関するポスト・ジェンダー/セクシュアリティ論を構築することであった。17年度の研究では、近年のジェンダー研究におけるオリジナル/コピーの関係性についての議論を出発点とし、裏世界の深奥に潜むイギリス帝国、植民地の存在を明らかにすることを目指した。成果としては、ジョン・ゲイの犯罪文学における野蛮/洗練の対比を精査し、作品の表面に表れない、グローバルシステム内の人種問題をあぶりだした。また18世紀のトランスナショナルなジェンダー・階級・国家表象をサミュエル・ジョンソンの作品解釈によって確認した。18年度の研究では、ウィリアム・ホガースの『娼婦一代記』と『ファニー・ヒル』の比較から、信頼できない語り手=ファニーのオリジナリティを明らかにした。ファニーの幸福な結婚で終わる性の遍歴の裏に確認できる近代的主体の転倒した「階級・人種・ジェンダー」意識を新歴史主義的に検討する必要性を主張した。19年度の研究では、現代のアニメーション研究の成果を視野に入れ、エロティック・アートのグローバルな普及・発展の過程を検証した。江戸時代の春画、あるいはアニメにおける「少女=戦士」の表象に関わる作品も併せて検証した。日常的現実に媒介される「虚構」それ自体にリアリティを見いだす精神性は、現代アニメにおける「おたく」的生産/消費と密接に関連しているが、虚構それ自体を欲望することの意味をホガース版画の歴史性という観点から多面的に検討した。
すべて 2008 2007 2006 2005
すべて 雑誌論文 (10件) 学会発表 (10件)
『人文研究』 第115輯
ページ: 259-272
『東北英文学会大会Proceedings第62回大会』
ページ: 127-134
The Review of Liberal Arts, No referee vol.115
The Tohoku English Literary Society Proceedings of the 62^<nd> Conference No Referee
『英語青年』 153
ページ: 79-82
『人文研究』 第114輯
ページ: 97-117
The Rising Generation, No referee vol.153
The Review of Liberal Arts, No referee vol.114
『日本ジョンソン協会年報』 第30号
ページ: 17-22
Annual Bulletin of the Johnson Society of Japan, No referee vol.30