研究課題/領域番号 |
17520149
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中地 義和 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50188942)
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研究分担者 |
田村 毅 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90011379)
塚本 昌則 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 助教授 (90242081)
竹内 修一 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 助手 (40345244)
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キーワード | フランス近代詩 / ジャーナリズム / 異本 / レトリック / 検閲 |
研究概要 |
本研究1年目の平成17年度は、現有設備に欠けている基本資料の収集・整理と併行して、19世紀中葉における詩人とジャーナリズムとのイデオロギー的・美学的関係の両義性を炙り出す実例として、とくに次のような研究を進めた。 1.1850年代に、傾向を異にする「議会通信」紙、「パリ評論」誌、「両世界評論」誌にボードレールが発表した韻文詩と、これらの三つの発表媒体の一般的性格との齟齬に注目し、そこにこめられた挑発性、パロディ性、職業的偽善性の諸相を検討した。 2.第三共和政初期(1872-75年)にエミール・ブレモンが主宰した雑誌「文学と芸術のルネサンス」は、高踏派の重要詩人を結集しながらその実態については不明な部分が多かった。しかし1995年ソルボンヌに提出されたミカエル・パッケンナムの博士論文によってようやくその活動実態が明らかになってきた。これをマイクロフィルム資料として取り寄せ、同誌に一部が発表されたヴェルレーヌ『詞(ことば)なき恋歌』、ランボー「後期韻文詩」との関わりの分析を進めている。 3.1886年に創刊された世紀末象徴主義の雑誌「ラ・ヴォーグ」の編集長ギュスタフ・カーンおよびその世代の詩人たちと、一世代前のマラルメ、ヴェルレーヌとの、雑誌を媒介としての両義的な関係を考察した。 来年度は、6月に第二帝政期・第三共和政期のジャーナリズムと詩人との関係に詳しいレンヌ第二大学教授スティーヴ・マーフィー氏を招聘し、とくに1と2についていくつかの視点を提供してもらい、本研究の充実をめざす。そして成果を論集にまとめる予定である。
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