研究課題/領域番号 |
17520149
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ヨーロッパ語系文学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中地 義和 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授 (50188942)
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研究分担者 |
田村 毅 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 名誉教授 (90011379)
塚本 昌則 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 助教授 (90242081)
鈴木 雅生 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 助手 (30431878)
竹内 修一 北海道大学, 大学院文学研究科, 助教授 (40345244)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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キーワード | フランス近代詩 / ジャーナリズム / 散文詩 / ボードレール / マラルメ / 「ラ・ヴォーグ」 / アンドレ・ブルトン / ミシェル・レリス |
研究概要 |
本研究は、19世紀中葉の第二帝政期から現代にいたるフランス近代詩の展開において、詩人の創造的営みにジャーナリズム(新聞・雑誌)およびその編集者たちがどのように関与したかを、歴史的文脈に即して解明することをめざした。(1)ボードレールに代表される第二帝政期、(2)マラルメに代表される第三共和政期、(3)同じ第三共和政下の1880年代後半に、マラルメよりも一世代若い詩人たちが、当時隆盛の自然主義文学に対抗して新たなポエジーを創造すべく結集した雑誌「ラ・ヴォーグ」をめぐる動き、(4)1920年代にシュルレアリスムの領袖の地位を確立したアンドレ・ブルトンが、第二次大戦中に亡命中のアメリカで行なった新たな活動の拠点作りの動き、(5)20世紀フランスの多面的詩人・作家を代表するミシェル・レリスをモデルに、雑誌が一作家の自己形成と作品生成に果たした作用、という五つの切り口から研究を進め、成果報告書には(1)〜(5)のそれぞれに関する研究が集められている。 19世紀前半に出現した近代的な意味での「文学」に従事する「作家」は、否応なしに作品発表媒体としての新聞や雑誌と関わりをもたざるをえなかった。それに乗じて発達したのが新聞連載小説であるが、相対的に少数の読者しかもたない詩人の場合も、現実世界に生きる以上、また作品が読者を必要とする以上、純粋な美、孤高の精神にのみ拘泥して一般大衆に背を向けることは許されなかった。そこで、個人的資質と時代の状況に応じて、さまざまな「歴史的・戦略的な妥協」が試みられる。19世紀を扱った(1)〜(3)の研究で明らかになった共通項は、一般読者に近づきがたい韻文詩の厳格な規範や凝縮された叙情を緩和して自由詩や散文詩に向かう形式的妥協と、ジャーナリズムが好んで扱う三面記事的話題を詩に取り込む内容的妥協をともに受け入れながら、根本精神においてはジャーナリスムの説く浅薄で偽善的なモラルを転倒するという、苦渋を伴う迂回的な創造形態である。他方、20世紀を対象とする(4)(5)の研究においても、詩的創造とジャーナリズムとの関係は多少とも葛藤的な関係にあり、詩人・作家はそれをかいくぐって独自の可能性を見出していったことが具体的に明らかになった。本研究の対象とした作家・運動は限られているが、今後いっそう広範な研究を展開するための基盤作りができたと考える。
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