この時代の社会主義的ユートピアの代表作としてのエドワード・ベラミの『かえりみれば(Looking Backward)』(1888)と、同じくフェミニスト・ユートピアの代表作であるC・P・ギルマンの『女の国(Herland)』(1915)を、ダーウィンの著作と関連させながら読解することをとおして、この時代のユートピアの特徴として、「歴史の終焉」としてのユートピアがいかなる闘争の果てに成立してきたかを明らかにし、そのうえで闘争の欠如したユートピアがふたたび進歩の動因として闘争を導入していくプロセスを概観した。それをとおして、ダーウィン以後のユートピアニズムの不可能性を明らかにした。
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