研究概要 |
1.ヨーロッパ人のローマ行の淵源として、初期キリスト教時代からのローマ巡礼の伝統があり、この文脈におけるドイツ文学での言及で古いものは、中世の「哀れなハインリヒ」、「グレゴーリウス」等がある。これらの作品中のローマ像について分析している。なお、この2作品を含む音声資料'Das Deutsche Lautarchiv"をオープンテープの状態からDVDデータとして変換し、パソコンによる使用を可能にした。 2.イギリス貴族の子弟による「グランドツアー」の流行はドイツ人のローマ行にも多大の影響を与えている。このことを示す事例はゲーテの「イタリア紀行」中にも見られるが、広く他の実例をもを収集しつつある。 3.近世以降にイタリア旅行を企てたドイツ文人のリストアップを行い、彼らの事績を可能な限り収集、データ化しつつある。例えば、ゲーテの父ヨーハン・カスパール・ゲーテの「イタリア旅行記」(1740年)。 4.16世紀から18世紀に至る間に刊行された、ローマに関するガイドブックと地図にはどのようなものがあったか、調査している。これによって人々が抱いたローマ像をトポグラフィーとして明らかにしていきたい。とくにPiranesi, Vasiのローマ絵図の果たした役割について考察を進めている。また、交通手段、宿泊設備等の条件などの、18世紀の「旅行文化」の背景を明らかにする資料を収集している。
|