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2006 年度 実績報告書

女性的他者を抑圧する西洋的特性

研究課題

研究課題/領域番号 17520159
研究機関名古屋大学

研究代表者

越智 和弘  名古屋大学, 国際言語文化研究科, 教授 (60121381)

キーワード快楽敵視 / 女性恐怖 / 禁欲主義 / 資本主義 / ナチズム / ドイツ神秘主義 / プロテスタンティズム / 女性的他者の消去
研究概要

本研究が掲げた「女性的他者の消去」という西欧資本主義の本質的特質が、じつはドイツに起源がある問題なのではないかという観点から、さらに踏み込んだ考察を進めた。そして本年度におけるその成果は、次の二点に結実した。
1)従来タブー視されてきた、ナチスがドイツ国民に放った魅力を、アウシュヴィッツ強制収容所の医師メンゲレを父にもつ息子の視点から描いた作家ペーター・シュナイダーの小説『父よ!』を翻訳刊行した。またこの作品の価値が、現代人の抑圧構造に通じる問題であることを明らかにするために、西洋近代の特質としてあげられる民主主義や資本主義の浸透が、ナチス時代のドイツ人の多くに、社会が女性化する恐怖を呼び覚ましたこと、そしてその女性恐怖こそがナチスを支える根底をなしたことを、本の解説として掲載した論文「ドイツ的世界観と戦後民主主義」において論じた。
2)さらにこのドイツ的な女性恐怖の起源が、じつはヨーロッパ文明の発生期にあるのではないか、しかしまたゲルマン的要素がどうしてヨーロッパ全体に及ぶ父権的な性格の祖をなすに至ったのかという謎を解明する作業を進めた。古代ローマ帝国が崩壊する五世紀以降の二百年あまりの時代に、ヨーロッパで何が起きたのか。今日とかくタブー視され語りたがられないこの「空白の二〇〇年」に注目することで、じつはこの時期にゲルマン的支配がヨーロッパのほぼ全土に及んだこと、そしてこの戦闘的で快楽を忌避するゲルマン諸民族が、地中海文明を破壊し尽くす中から、神聖ローマ帝国というドイツ的秩序がヨーロッパに誕生した過程を、「言語文化叢書」掲載の論文「女性恐怖のドイツ的起源-ヨーロッパ文化史の再構築に向けて-」において論じた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 女性恐怖のドイツ的起源-ヨーロッパ文化史の再構築に向けて-2007

    • 著者名/発表者名
      越智 和弘
    • 雑誌名

      言語文化研究叢書 恐怖を読み解く 6

      ページ: 25-45

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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