20世紀にあって、パリで活躍した数多のシャンソン歌手を、「パリ生まれの歌手」「フランスの地方出身の歌手」「他の言語・文化圏に属す歌手」の三ジャンルに分類し、広く概観・考察した上で、それぞれのジャンル毎の典型的歌手数名を取り上げ、その代表的シャンソンの「歌詞分析」を試みた結果、当の歌手との〈パリとのアイデンティティ〉〈パリへのコンプレックスと同化〉などが明らかになった。このことから鑑みて、シャンソンを通して見える、パリが持つ多文化世界のダイナミズムおよび普遍性は、フランス語という固有の一言語で表現され歌われることで、初めて可能になったともいえるだろう。
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