本研究「文学批評理論としてのエコクリティシズム確立にむけての研究」は、ネイチャーライティングと環境文学研究の方法論としてのエコクリティシズムを、エコクリティシズムの批評的柱を確認し、最も研究が集中している作家、H.D.ソローのエコクリティシズム研究をモデルとしてまず批評的枠組みを概観し、ネイチャーライティングと環境文学以外の文学へのエコクリティシズム適用の可能性を探ること、幾つかのキーワードに沿ってこれまでの議論をまとめ、批評理論そのものとしての有効性と骨格を明らかにすることであった。 本年度は以下の項目について研究を実施した。 1 2000年以降出版されたソローについてのエコクリティシズム批評書を分析し、エコクリティシズムの批評理論としての特質を明らかにする。 2 「場所の感覚」、「環境意識」という批評用語の批評書での定義と把握 3 カウンター・カルチャーとの関連における文化批評としてのエコクリティシズムについて 1)2)3)に対応する、(1)(2)(3)および(4)(3)に対応する以下の論文発表成果があった。 1)『ウォールデン』150年雑誌特集をみる日本ソロー学会誌、『ヘンリー・ソロー研究論集』No.32)に発表した。 2)エコクリティシズム研究会での発表とエコクリティシズム批評書に関する書評。 3)共著『視覚のアメリカン・ルネサンス』の収録論文「ポーと新たなサブライムの意匠」を発表した。 4)ソローとカウンター・カルチャーに関わる論文を書き、研究書の1章として提出した。
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