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2005 年度 実績報告書

アメリカ文学におけるエスニシティ(ethnicity)の地政学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17520173
研究種目

基盤研究(C)

研究機関広島大学

研究代表者

田中 久男  広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (30039135)

キーワードエスニシティ / 東部 / ワスプ / ピューリタニズム / アイリッシュ・アメリカン / ホーソーン / オニール / 地政学
研究概要

過去8年間に行ってきた「現代アメリカ文学におけるフォークナーの遺産の体系的研究」と「アメリカ文学における地方主義(regionalism)の体系的研究」に繋げる形で、平成17年度から4年計画で出発した本「アメリカ文学におけるエスニシティ(ethnicity)の地政学的研究」の初年度においては、アメリカ・ルネサンスを形成したニューイングランド地方のホーソーン、メルヴィル、エマソン等のテクストにおいて、エリート集団であるワスプの特徴を、特にピューリタニズムの支配力という面から把握した。次に、かつてはワスプ主導の社会で周縁化されていたアイルランド系の作家たち-フィッツジェラルド、オニール、ファレル等、あるいはベローやマラマッド等のユダヤ系の作家たちのテクストに、彼らの活躍基盤である地域が、エスニシティ表象とどのように絡んでいるのかを地政学的な視点から読み解こうとした。これらの作業を通して、現在でも歴史的残滓として根強く残っている社会文化的な序列意識、エスニシティと地域との両面から究明しようと試みた。
その際、アイルランド系アメリカ人の血を引く作家たちの意識は複雑で、かつてブラック・アイリッシュという侮蔑的な言葉が流行していたように、東欧等の移民が19世紀末に大量に流入するまでは、アメリカ社会においては差別される代表格であったが、テクストに現れるアイルランド的な血や文化の特徴が必ずしも十分に把握できなかった。それで、アイリッシュ・アメリカンの文化的なルーツをたどるために、思い切ってアイルランドのダブリン大学のスティーヴン・マタソン教授とゴールウェイ大学のラリー・ケヴィン教授を訪ね、アイルランド文化の伝統や特質について教示を願い、本研究の遂行者の知見を提示する形で意見交換を行った。これは非常に有益な体験で、アイルランドの風景や食事や文化に直接触れることによって、アイルランド系アメリカ作家のエスニシティという面からの特質を、具体的にテクストに読み取る自信がついた。この財産を来年度の研究にも大いに生かして、課題の究明に努力したい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ミシシッピのEmmett Till事件と「乾燥の九月」-文化のかたちとしての構造化された暴力2006

    • 著者名/発表者名
      田中久男
    • 雑誌名

      アメリカ研究(日本アメリカ学会機関紙) 40号

      ページ: 39-56

  • [図書] History and Memory in Faulkner's Novels2005

    • 著者名/発表者名
      Hisao Tanaka(co-author)
    • 総ページ数
      303
    • 出版者
      Shohakusha(松柏社)

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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