研究概要 |
今年度はまず、昨年度ニューヨークで行った、現代ユダヤ系アメリカ作家、ウォルター・アビッシュ氏のインタビューを文書に書き起こし、メールによってアピッシュ氏と意見交換をしながら校正し、"Interview with Walter Abish"として完成させ、学術雑誌に掲載した。 第二に、今年度はアビッシュ氏の第三作、Eclipse Feverにおいて、同化という観点から新しいユダヤ性について考察した論文、"Assimilation in Postmodern Globalization - In Relation to Walter Abish's Jewishness in Eclipse Fever"を完成させ、本研究科紀要を通して公表した。論文ではまた、ホロコーストの扱い方が非常に新しいHow German Is Itの特徴を、それまでの戦争文学作品と比較した「現代文学への新たなアプローチ-戦争を知らない世代のための新しい反戦文学」を書き上げ、学術雑誌を通して公表した。 第三に、昨年度アビツシュ氏の処女作Alphabetical Africaを題材に行った、ホロコーストと新しいユダヤ性についての研究をもとに、今年度の,Eclipse Feverに関する論考や、第二作How German Is Itと最新作Double Visionの分析を視野に入れた口頭発表、"Post modernism and the Influence of the Holocaust in Walter Abish's Alphabetical Africa"を、2007年1月にハワイで開催されたHawaii International Conference on Arts and Humanitiesで行った。 さらに今年度は、作品研究をポール・オースター氏の作晶にひろげ、家族との関わり、特に父と息子の関係から新しいエスニシティを追求しており、現在その新たな論文を作成中である。また、氏とのインタビューを企画しており、そのための準備を進めている。さらに、今年の夏までに新しいユダヤ性と階級についての論文を依頼されており、ジョーゼフ・ヘラーのCatch-22を材料に論文の執筆を進めている。 加えて、2007年10月に開催される日本アメリカ文学会大会では、研究課題の表題「エスニシティの新たなる地平」でシンポジアムを担当することになっており、現在発題者との意見交換や内容調整などを行って、そのための準備を進めている。
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