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2005 年度 実績報告書

生物学的世界観とドイツ文芸クライス-ヘッケル「一元論」の射程-

研究課題

研究課題/領域番号 17520181
研究種目

基盤研究(C)

研究機関九州大学

研究代表者

福元 圭太  九州大学, 大学院・言語文化研究院, 助教授 (30218953)

キーワードエルンスト・ヘッケル / 一元論 / フリードリヒスハーゲン / 自然哲学 / ドイツ青年運動 / ヴァンダーフォーゲル
研究概要

1.「一元論」の系譜をたどる
古代エレア学派のパルメニデス、その弟子のゼノンからデモクリトスの唯物論的一元論を経てエピクロスにいたる系譜と、エピクロスに対抗するストア派の議論、またグノーシス派の一元論を経たプロティノスの思想をたどった。中世期に関しては擬ディオニュシオス・アレオパギテースからヤーコプ・ベーメ、そしてジョルダーノ・ブルーノ、近世のスピノザ、ライプニッツ、さらにドイツ観念論のシェリングにいたる一元論的思考を概観した。
2.エルンスト・ヘッケルの「一元論」の考察
スピノザ主義者ゲーテの形態学がヘッケルの主著『生物の一般形態学』に及ぼした深甚な影響を分析し、ゲーテとダーウィンの統合としてのヘッケル「一元論」の骨格が明らかになった。またヘッケル晩年の講演や論文における、理性宗教としての「一元論」に注目し、ゲーテの汎神論との類似性が明確になった。なお申請者は、その著書『「青年の国」ドイツとトーマス・マン』(2005年11月30日発行)において、ヴァンダーフォーゲルを始めとする「ドイツ青年運動」における自然回帰とその非合理性への衝動の背景にあるヘッケルの一元論的思想に言及し、「ドイツ青年運動」の思想的指導者たちである教育者のグスタフ・ヴィネケンやルートヴィヒ・グルリット、出版者オイゲン・ディーデリヒスや保守的な文化サークルである「デューラー同盟」の主催者フェルディナント・アヴェナリウスらが、ことごとくヘッケルの信奉者であったことを解明した。
3.「フリードリヒスハーゲン・クライス」と「新しい村」
「フリードリヒスハーゲン・クライス」に集った文筆家のなかで最も影響力の大きかったヴィルヘルム・ベルシェは、ヘッケルの愛弟子と言えるが、ベルシェとゲルハルト・ハウプトマンの交流、またベルシェの著作が「徹底自然主義」の作家ヨハネス・シュラーフやアルノー・ホルツに与えた影響などを跡付けることができた。さらにハルト兄弟を中心とするボヘミアン集団としての「フリードリヒスハーゲン・クライス」が「新しい村」を創生する過程を、当時の文献から探ることができた。
これらの知見は来年度に相次いで活字化する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2005

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 「青年の国」ドイツとトーマス・マン2005

    • 著者名/発表者名
      福元 圭太
    • 総ページ数
      369
    • 出版者
      九州大学出版会

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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