研究課題/領域番号 |
17520183
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
木原 誠 佐賀大学, 文化教育学部, 助教授 (00295031)
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研究分担者 |
朱雀 成子 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (20104101)
早瀬 博範 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (70173052)
田村 栄子 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (20249238)
相澤 照明 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (50167764)
相野 毅 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (70184017)
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キーワード | 国際文化 / モデルネ / テロリズム / ジェンダー / 科学的思考 / ナショナリズム / フォルク / 近代超克論 |
研究概要 |
本年度は「国際文化学」の理念構築に向けてのコンセンサスづくりのための一年と位置づけ、研究チーム七名は互いの専門流域の視点から、学内における研究会を度々開催した。ただし、この共同研究の目的は、たんに学問的理念の構築のみならず、それを速やかに教育の現場で実践していくための教育図書の機能を備えた研究書の出版にあった。この目的は、『ヨーロッパ文化と<日本>-モデルネの国際文化学』(昭和堂、2006年四月)出版において一部、達成された。この研究図書は、共同研究チーム田村栄子を編著とする12名(そのうち、11名は我々共同チームが所属する佐賀大学文化教育学部国際文化講座の面々)からなり、共同チーム7名のうち5名(代表者、木原誠を含む)が直接、執筆にあたった。内容は、欧米、日本におけるモデルネ=近代性の開花によって、文化のもつ国際性がどのように世界規模で拡大し、そのことによって現代の社会、文化、精神がいかなる変容を蒙っていったのかを各々の専門分野から個別研究を通し読み解こうとする試みであった。具体的には木原はアイルランド蜂起を手がかりに、ナショナリズムとテロリズムの問題を、朱雀はシェイクスピアの『アントニーとクレオパトラ』を読み解きながら、ジェンダーと国際性の問題を、田村はモデルネの開花とともに展開したドイツ青年運動の意義を歴史的に意味づけ、相野は、世紀末小説を手がかりに現代の科学的思考の表裏として存在するオカルトの問題を、菅原は我が国における「近代超克論」の根にある西洋精神のねじれた受容の問題をニーチェの受容を視座に考察したものである。なお、この図書は平成18年度、新たに佐賀大学文化教育学部に設けられた講義、「国際文化学」の教科書として用いることにより、教育の実践の場で役立てるつもりであることを附記しておく。
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