研究課題
基盤研究(C)
まずは関連する先行諸研究と間テクスト解釈理論を始めとする諸文芸理論について概観するとともに、文体論・修辞学および文学史に関する先行研究の成果を調査し、作品分析で注目することになる修辞技法・叙述技法の発展の様相を把握することに努めた。本研究の対象候補作品については、来献学的基礎作業に加え、各種校訂本・注釈書を綿密に調査しつつ読解し、先行作品との比較の観点から総合的に作品分析を行った。即ち、間テクスト解釈理論を応用しつつ、主な手本となった作品との比較ばかりではなく、従来の作品論研究では見過ごされてきた様々な先行テクスト(同一作者による他の作品や当該作品自体の別の箇所をも含む)との多様なレベルにおける関連性を考察し、創意工夫の様相を明らかにすることに努めた。具体的には措辞・語法、韻律、修辞・叙述技法などの文体論的特徴と、文学上のモティフ、トポスや作品構成等の面から、先行作品がそれを手本として作られた作品において如何なる改変を経て用いられているかなどを詳細に検討した。しかも単に類似箇所を取り出して比較するのみではなく、当該箇所がそれぞれの作品構成上占めている位置にも着目した。具体的に検討した作品としては、ホメーロス『イーリアス』『オデュッセイア』とウェルギリウス『アエネーイス』乱へ-シオドスとアラートスに対するレクレーティウヌとウェルギリウスの教訓詩、ギリシア抒情詩やアルキロコスとホラーティウスの『カルミナ』や『エポーディ』、テオクリトスとウェルギリウスの『牧歌』、エウリービデースとセネカの悲劇などの他、研究者各自の関心に応じてホメーロス、アリストパネース、ソローン、カトゥッルス、ホラーティウスなどを対象とした。これらの研究から別掲のように4件の研究発表と6件の論文が生まれたほか、図書の欄に掲げた翻訳書の解説でも本研究の方法を応用することができた。論考のうちの5点をまとめて研究成果報告書を作成した。研究全体を総括するならば、間テクスト解釈理論を援用しつつ個別作品の緻密な読解と検討を重ねることで、改めて古典文学における革新、あるいは伝統の柔軟性と創造性の一端を跡づけることができ、意義深い研究であったと考えている。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件) 図書 (1件)
『人X学報』(首都大学東京都市教養学部人文社会系) 399
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Philologica (The Society for the Studies of Classical Philology) Vol. 2
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『フィ『ロギカ』(古典文献学研究会) 1
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Journal of Human Studies : Christianity and Culture (ICU) Vol. 37
Philologica (The Society for the Studies of Classical Philology) Vol. 1
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