本研究は、18世紀から19世紀にかけての科学の発展が、イギリスロマン主義文学の形成と発展に重要な要因となったことを明らかにするために、科学の発展に伴って起こった社会、文化、思想上の現象とロマン派詩人の思想や詩作との関係を考察したものである。イギリスロマン派詩人第一世代における急進派科学とその展開について、コールリッジとデイビーの思想的交流や当時の科学文化、思想などから検討するとともに、科学主義の精神がどのように抽象化され、詩論や方法論にとりいれられたかについて、ワーズワスやコールリッジの散文作品などから考察した。同時に、ロマン派詩人第二世代において、詩と科学の相互関係がどのように把握され文学上の表現に活かされたかについて、キーツの詩作品とともに、最後のロマン主義者ともいえるアイルランドの数学者ハミルトンの著作から考察した。
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