研究概要 |
ヴァイマールのアンナ・アマーリア図書館において,ヴィルヘルム・シェーラー及びエーリッヒ・シュミットによるゲーテ文献学特にファウスト文献学の成立,またベルリン大学におけるドイツ文学科設立との関係に関する資料調査を行った。また,ベルリン大学におけるヘルマン・グリムのゲーテ講義についても,その反響を含めた資料調査を行った。さらに,ゲオルゲ・クライスにおけるゲーテ崇拝の状況についても,グンドルフに関する資料も含めて詳細に調杳した。さらにジンメルのゲーテ論,ベンヤミンのゲーテ記述に関するドイツにおける現在までの研究について情報を収集した。 今年度は,ゲーテ崇拝の系譜からドイツにおける古典生成のプロセスを再構成する本研究の最終段階を迎えつつあるなかで,これまでの研究成果を踏まえた全体的な記述について具体化する試みに努めた。その結果おおよそ次のような構想のもとでまとめの執筆に入った- 第1部古典作家ゲーテ誕生1ギリシャ精神の宿る身体,2理想の本を求めて,3中心たき今立国家と古典の運命,4ロマン派文章論と借景とこそのゲーテ,果てなきファンタジーと女性読者 第2部教養と古典1魂なき亡骸としての記念碑,2俗物批判ディスクルスと古典,3知的おしゃれとなる古典の名句,4読まずに暗記されるゲーテ,5ゲーテ文献学の誕生とゲーテ学の組織化 第3部危機の時代と古典1創作と知の乖離の克服をめぐるディスクルス,2ドイツ的内面性の崩壊と古典,3ヨーロッパ文学の全体性回復をめぐるディスクルス第1部及び第2部4章までの部分はほぼ完成しており,第2部5章及び第3部に取り組むための十分な資料調査を行った。
|