研究概要 |
今年度は引き続き帝政末期ロシアの民衆読書教育と出版ジャーナリズムについての資料収集および読解をおこなった。 民衆への識字教育の過程で、ロシアの近代文学作品に特別な価値が見出され、また民衆向け出版物とエリート知識層向けの出版物が1880-90年代を境にその境界をあいまいにし、文学の大衆的普及が進んだことが明らかとなった。 また2008年3月、モスクワにおいてメディア関係資料の収集をおこなった。 民衆読書教育や雑誌と読者の関係にかんする研究成果として、下記の成果を発表した。 Rsprostranenie chteniia khudozhestvennoi literatury sredi naroda i formirovanie natsional'noi identichnosti Rossii (1870-e – 1917),MOCHIZUKI Tetsuo, ed., Beyond the Empire: Images of Russia in the Eurasian Cultural Context, Slavic Research Center, Hokkaido Univ., 2008, pp.189-213. 「革命前ロシアの民衆読書教育と国民意識形成-1870年代から20世紀初頭」『21世紀COEプログラム「スラブ・ユーラシア学の構築」研究報告集No.23文化研究と越境:19世紀ロシアを中心に』北海道大学スラブ研究センター、2008年2月、pp.1-19. 「厚い雑誌の興亡」-一九世紀の雑誌読者」大江健三郎ほか『21世紀ドストエフスキーがやってくる』集英社、2007年6月、pp.265-270. 「ナショナリズムと帝国支配を超えて-イルホム劇場『コーランに倣いて』のなかのプーシキン」『舞台芸術』12号、2007年10月pp.114-120.
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