1)テクスト読解と研究資料の収集・整理 夢文学の中英語テクスト読解、並びに聖書正典、外典、偽典等との比較、更に、関連研究書等を入手した。また、国内の大学図書館や国会図書館等へ赴き当該研究に必要な資料を閲覧及び入手した。中英語テクストは、語注やグロッサリーを利用して読解を進め、その他の研究資料を分類・整理した。 2)聖書外典における夢と幻の考察 聖書正典、外典、偽典について、夢文学の異界描写と関連のあると思われる夢や幻の箇所の一覧表を作成し、具体例を挙げながら、夢文学との関連性を考察した。考察によって示唆されたのは、聖書正典、外典、偽典中の主に預言書や黙示録の諸文書が、夢文学の楽園描写に多大の影響を及ぼしたのではないかという点である。特に注目すべきは、ダニエル書、第二エズラ書、第一エノク書、ヨハネ黙示録等である。 3)異界要素一覧表および報告書の作成 異界夢文学の作品群、聖書の書物群の比較対象一覧表を、異界要素(主に楽園描写に付随する天使、建造物、橋、川など)を中心に補助金交付期間中に継続して作成した。当該研究の最終年度として、研究成果報告書(冊子体)を作成してまとめた。研究成果は、今後、日本英文学会、日本中世英語英文学会、比較思想学会等で口頭発表及び論文投稿し、他の研究家の意見を聞くつもりである。
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