研究概要 |
2005年度におこなった研究課題「身体論的中国近代文化史研究」に関する研究活動によって得られた知見、業績等は以下の諸点にまとめることができる。 1,国内資料調査--東京大学東洋文化研究所および国会図書館において、清末期に発行された中国文雑誌、新聞の調査をおこない、中国近代文化史関係資料を収集した。とくに、今回は、体操・体育、パレードなど近代社会と「身体」に関する資料を収集した。 2,海外資料調査--中華人民共和国に赴き、上海図書館近代文献資料室および中国国家図書館(旧北京図書館)において同上の雑誌・新聞の調査をおこなった。本調査においては、1と同様の中国近代における表象文化の成立に関する資料の調査に加え、速度に関する資料の収集に努めた。 3,1、2の資料調査などをもとにして、論文「『天演論』と『呉京卿節本天演論』」(『中国文史論叢』第2号)を執筆した。これは、「進化論」という西洋からもたらされた世界理論を清朝末期の中国人がどのように受容しみずからのものとしていったのかについて、「読む側」と「読まれる側」の関係に注目して分析を行ったものである。
|