研究概要 |
2006年度におこなった研究課題「身体論的中国近代文化史研究」に関する研究活動によって得られた知見・業績等は以下の諸点にまとめることができる。 1,国内資料調査--国会図書館において、清末期に発行された中国文雑誌、新聞の調査をおこない、中国近代文化史関係資料およびThe Timesなどの同時期の英字新聞の記事を収集した。とくに、今回は、蝋人形や銅像など他者(欧米人)によって作りなされた中国人の「身体」に関する資料を収集した。 2,海外資料調査--中華人民共和国に赴き、上海図書館近代文献資料室および中国国家図書館(旧北京図書館)において同上の雑誌・新聞の調査をおこなった。本調査においては、1と同様の中国近代における「身体」の制作に関する資料の調査・収集に努めた。 3,1、2の資料調査などをもとにして、論文「蝋人形・銅像・肖像画--中国近代における身体と政治の関係についての覚書(1)」(『岡山大学文学部紀要』第46号)を執筆した。本研究は、ヴィクトリア朝のイギリスにおいて、中国人の「身体」がどのように他者によって必要とされ、また当時のロンドンを訪れた同胞達によって眺められたのかを文化史的に考察したものである。
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