本研究は、平成14年度縲恤ス成16年度にかけて、今回同様科学研究費補助金を受けて実施した研究「中国近代文化史--中国近代の自己デザイン」の続編に位置づけられる研究である。この一連の研究の目的は、文化史研究の観点に立って、中国の近代を再検討し、政治思想史的枠組みに拠るだけでは明らかになり得ないその実像を描き出すことにある。前回の研究では、時間、空間、表象のカテゴリーから中国近代を捉え直すうえで最も有効な文化的現象をピックアップして分析、検討する手法をとったが、今回は、「身体」に着目して研究を進めることにした。その理由は、前回の研究のなかで、「中国」と「近代」の出会いのドラマとは、「中国人」が「近代人」に変身してゆく/変身させられてゆく過程でもあることを改めて強く理解したことによる。具体的研究は、「身体」を対象にした重要な先行研究のひとつであるM・フーコーの理論を一方で意識しつつ、中国人がいかに「近代」に特徴的に出現したグローバルな「見る」-「見られる」の関係(この関係自体が「身体」を通したものであることに注意)のなかで自身のそしてメタレベルの「自己」-「他者」認識を形成し、結果として、自身とそれを見つめる他者が「近代人」化してゆくことになったのかについて考察することに努めた。その際、その状況を特徴的に示す人物と文化的現象を選び出すことによって、できるだけ典型的な事例を呈示できるよう心がけた。
|