申請者が平成17年度科学研究費補助金交付申請書に述べた平成17年度研究実施計画(〜平成18年3月)に沿って、以下のように本年度の研究実績の概要を報告する。 (1)資料収集;申請者は東大東文研等での資料調査や中国書籍専門取扱店等を通じて、関連資料の収集に努めた。関連資料は必要部分をコピーして保存するほか、『中国文学史』関係図書約200冊を購入し、人文科学研究院書庫に設置した。これらの関係図書は貴重なコレクションとして今後も活用される。 (2)資料精読;林伝甲・張之純・謝无量等の『中国文学史』、および古城貞吉・笹川種郎・児島献吉郎等の『支那文学史』を精読し、個々の文学史記述について比較研究した。また、陳平原『早期北大文学史講義三種』・戴燕『文学史的権力』・陳国球『文学史書写形態与文化政治』等の参考書を参照した。 これらの研究成果を(3)の研究発表において公開した。 (3)研究発表;学術論文として「明治日本の『支那文学史』と清末民初の『中国文学史』(『九州中国学会報』44巻、2006年5月刊行予定)」をまとめた。また、口頭発表として「草創期の『中国文学史』纂述」(第218回中國文藝座談会、2005年9月)、「明治日本の『支那文学史』と近代中国の『中国文学史』」(第3回「人文学を問う」研究発表会、2005年11月)を行い、研究成果の公表に努めた。
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