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2008 年度 実績報告書

古文献によるアイヌ語史の構築

研究課題

研究課題/領域番号 17520245
研究機関北海道大学

研究代表者

佐藤 知己  北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (40231344)

キーワードアイヌ語 / 古文献 / 北海随筆 / 蝦夷談筆記 / 狄島夜話記 / 中舌母音 / 長母音
研究概要

今年度はこれまで扱ってこなかった次期に属する18世紀前半のアイヌ語資料を中心に分析をすすめた。具体的には、坂倉源次郎の「北海随筆」、松宮観山の「蝦夷談筆記」、天嶺性空「秋島夜話記」という三つの文献に含まれているアイヌ語の語彙について詳細に分析した。これらの文献は初期の時代の蝦夷地の事情を記述した文献として非常に貴重なものであるが、異本の多いものもあり、そのままでは含まれているアイヌ語の語彙について、言語学的な研究を行うことができない。そこで、比較的善本と思われる異本を校合してまず文献的な研究を行った上で、この時期に属するアイヌ語の特徴を分析した。その結果、18世紀前半の資料にも、アイヌ語最古の文献に属する17世紀前半の資料と共通する特徴が現れることを実証的に明らかにすることができた。これらの特徴は18世紀後半、19世紀前半に属するアイヌ語資料には通常はみられないものである。具体的には長母音を表したとみられる表記が、共通する語彙にみられることを明らかにした。また、後期の文献には通常はみられない特徴的な語形が、この時期の文献にもみられることを明らかにした。その一方で、17世紀前半の資料に現れる中舌母音をあらわしたとみられる表記は現れないことを指摘した。これにより、ごく部分的にではあるが17世紀前半(長母音、中舌母音、特徴的語彙)、18世紀前半(中舌母音の消失)、19世紀以降(長母音の消失、語彙の交替)というアイヌ語の通史に関する見通しを立てることができた。なお、古文献の研究に必要な研究である近現代のアイヌ語の研究として、資料の少ない虻田方言の研究を行った。また、千歳方言の文法についてまとめ古文献のアイヌ語諸形式の分析にも有用な知見をまとまった形で提示した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 18世紀前半のいくつかのアイヌ語資料について2009

    • 著者名/発表者名
      佐藤知己
    • 雑誌名

      北大文学研究科紀要 127

      ページ: 29-58

  • [雑誌論文] アイヌ語虻田方言の英雄叙事詩テキストとその言語的特徴2009

    • 著者名/発表者名
      佐藤知己
    • 雑誌名

      北海道立アイヌ民族文化研究センター紀要 15

      ページ: 1-38

    • 査読あり
  • [図書] アイヌ語文法の基礎2008

    • 著者名/発表者名
      佐藤知己
    • 総ページ数
      392
    • 出版者
      大学書林

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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