1 前年度に引き続き、仏領ポリネシアに赴き、現地関係者の協力も得ながら、市内各所、及び仏領ポリネシア大学図書館において、日本では入手困難なポリネシア諸語の先行研究文献及び分析のための各種言語データの収集を行った。仏領ポリネシア内で話されているタヒチ語やマルケサス語等の諸言語を中心に、各種言語データ、先行研究文献を収集し、これまでに集めたデータを拡充することができた。 2 前年度に引き続き、国内大学図書館に赴き、ポリネシア諸言語の先行研究文献、辞書等を閲覧し、方向詞に関するデータや記述等のうち、これまでに収集しきれなかったものを複写し持ち帰った。持ち帰ったデータや記述はこれまでに蓄積したデータと統合した。 3 前年度に引き続き、収集したデータを言語別に取り込み、分析しやすい単位に分解し整理するとともに、個々のデータの語彙的分析、意味的分析及び、文法的分析を行った。 4 収集した先行研究等における記述データを活用して、ポリネシア諸語合計24言語の方向詞の意味・機能、用法等について言語別に整理し、まとめた。その際に、多くの言語で共通に見られる四つの方向詞に加えて、一部言語の先行研究で方向詞という語類に加えられているいくつかの語も含めて、各言語について同様に整理した。また、各方向詞の個々の用法別に例文を分類整理した。その成果を合わせて、24言語の言語別の方向詞意味機能一覧、及び分類例文集を研究成果報告書として冊子体にまとめた。 5 主にハワイ語とタヒチ語とサモア語について、方向詞の用法のうち、典型的な用法(空間的な方向性を示す)以外の用法の一つとして、比較表現等における方向詞の用法を分析し、その機能、用法の一般化を行った。尚、この部分の結果については論文として投稿準備中である。
|