研究課題
基盤研究(C)
研究代表者柳田賢二は分担者菅野裕臣とともに2005年夏、2006年夏の2回にわたってキルギスの首都ビシュケクおよびその近郊にあるドゥンガン人村・アレクサンドロフカにおいて現地研究を行った。そこにおける柳田の主目的は同地在住ドゥンガン人のドゥンガン語・ロシア語コードスイッチングの音声資料採取にあったが、主に宗教上の理由から訪問した家庭における家族内の会話を収録することが著しく困難であり、それゆえ、コードスイッチングが実際に行われていることは確認できたものの、残念ながらその分析に十分な音声資料を採取することには成功しなかった。しかし、2001年から現在に至るキルギスとウズベキスタンにおける現地研究を通じて、中央アジアの非スラヴ系諸民族の人々が話すロシア語には、特にシンタクスの面において母語の違いを越えて同じ非規範的現象がしばしば現れることを観察していたので、これが中央アジアという古代からの多言語地域において何らかの複雑な過程を経て発生したロシア語ピジンの残滓であるという可能性を考え、ピジン言語における二重語の存在およびその役割と「語彙入れ替え」という一見極めて実現困難な現象との関係をロシア語・ノルウェー語ピジンや西欧語基盤ピジンに関する先行研究を基にして考察して論文「ピジンにおける二重語(doublet)について」にまとめた。研究分担者菅野裕臣は2年間にわたるビシュケク等での現地調査においてドゥンガン語に関する研究論文やドゥンガン語で書かれた文字資料を可能な限り全て収集し、また質問紙法により現地のドゥンガン語基本語彙の発音を録音し、多くの音声資料を集めた。これらの分析の結果、ドゥンガン語の音韻体系は見かけ上の違いの大きさにも拘わらず中国語普通話と酷似しており、現在ドゥンガン語で用いられているキリル字正書法には余剰的特徴と弁別的特徴との区別が正しく反映されておらず文字の数が多すぎるという意味で一定の改善の余地があるとの結論に達した。このことについては「ドゥンガン語とその正書法」に詳述した。また、現在までに入手したすべての文献から71頁にのぼる「ドゥンガン関係論著・略歴目録(2001年以降)」を作成し、同じく本科研費の研究成果報告書に掲載した。
すべて 2007 2006 2005
すべて 雑誌論文 (13件) 図書 (1件)
Hakusuisha, Tokyo
ページ: 302
韓国語学年報(神田外語大学韓国語学会) 第2号
ページ: 125-157
ページ: 159-177
アルタイ研究(大東文化大学) 第1号
ページ: 109-124
Altaistic Studies, Daito Bunka University Vol. 1
ページ: 109 -124
Annual Journal of Korean Linguistics, Kanda University of International Studies, Korean Linguistics Society Vol. 2
Altai-Hagbo(アルタイ学報)(韓国アルタイ学会) 第15号
ページ: 169-191
韓国言語文化研究(九州大学) 第10号
ページ: 26-43
韓国語学年報(神田外語大学) 第1号
ページ: 1-8
Altai Hagbo (Journal of the Altaic Society of Korea), the Altaic Society of Korea No.15
Studies on the Korean Language and Culture, Kyushu University Vol.10
Annual Journal of Korean Linguistics, Kanda University of International Studies, Korean Linguistics Society Vol.1