研究概要 |
本研究では,スペイン語の文法研究で問題になることの多い統語現象(例えば,叙法,再帰代名詞,人称代名詞,名詞の限定,関係詞,照応,数の一致,主述の一致などをめぐる問題)の使用実態についてスペイン語圏の多地点(30地点程度)において組織的アンケート調査を行うことを中心的課題とする.すでに行ったマドリードを中心とするいわゆる標準語のみを対象とした調査を、ラテンアメリカ諸国にまで観測地点を拡大することを目的としている。 平成17年度は、その第一段階として予定どおりメキシコでの調査を実行した。代表者と分担者ルイズ・ティノコの両名はメキシコシティーのメキシコ自治大学において、学生20数名に対する現地アンケート調査を実施するとともに、10月にメキシコ、モンテレイ市ヌエボ・レオン大学にて開催された「ラテンアメリカ言語学会」(ALFAL)において、「スペイン語のバリエーション」と題するワークショップを主宰、さらに研究代表者は"Encuesta sobre la variacion geografica de cuestiones sintacticas del espanol"なる発表を行い、現地研究者と意見の交換を行うことができた。 一方、分担者の上田博人は、スペイン、バヤドリー市で開催された「アメリカ大陸スペイン語に関する国際学会」(10月23日から30日)にて発表を行い、本研究に貢献しうる知見を深めることができた。 以上の予備的調査・研究を基盤にして、平成18年度は、中南米数地点において、より精度の高い現地調査を行い、本研究の目的である、スペイン語の統語的バリエーションを理解できるより実質的な成果をえることを目指している。
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