研究概要 |
本研究では,スペイン語の文法研究で問題になることの多い統語現象(例えば,叙法,再帰代名詞,関係詞,照応など)の使用実態についてスペイン語圏の多地点(30地点程度)において組織的アンケート調査を行うことを中心的課題とする.得られデータはそのまま重要な言語学的研究の資料となるが,さらに,地理的バリエーションを一つの新たなパラメーターとみなし,それを考慮することによって従来見られなかった新たな文法分析の可能性を探ることを最終的目的とする.平成15年度のスペイン調査をふまえ、ラテンアメリカにおいてさらに調査地点および被験者数を増やし,質問項目の量と精度を高める計画を進めている.第一段階としてメキシコでの調査を平成17年度に行った.得られた結果をもとに,地理的バリエーションのパラメーターがとくに関与しやすいと思われる現象を選んで分析を加えるとともに,複数地点で見られる統語現象が相互に関連する一つの有機的体系をもつのかどうかを検討する。 平成18年度は、ラテンアメリカのアルゼンチン,パラグアイ,チリ,コロンビアにおいて、予定通りアンケート調査を実施、現地研究者との交流を実現した。研究代表者および研究分担者ルイズが現地に赴き、現地の大学を中心とする支援を得て、現地インフォーマントに対するアンケート調査および現地研究者との確認作業を行った.平成19年度には,得られたデータを、昨年度実施のメキシコにおける同種の調査、および、前科研調査によるスペインでの調査と比較検討を行い、これをデータベース化する予定である。 なお,当プロジェクトの基盤になる統語バリエーションの理論的補強を目的として,マドリード自治大学のエレナ・デ・ミゲル氏を代表者の大学に招き講演や研究会での発表を依頼した.
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