研究概要 |
北野(研究代表者)は、2005年8〜9月にフィリピン共和国のアンヘレスにおいてカパンパンガン語のフィールドワークを行った。また、(i)2005年6月に南島語言國際研討會(台北)、(ii)2006年1月に第10回オーストロネシア言語学国際会議(フィリピン、プエルトプリンセサ)、(iii)2006年3月の第7回「言語・脳・認知」国際学術フォーラム(東京)にて、本年度のフィールドワークの成果を含む研究発表を行った。内容は、接語(i, ii)、他動性(ii, iii)、無標のモード(直説法)以外のモード(ii, iii)についてであった。 角田(研究分担者)は、既に収集したワロゴ語(豪州東北部)とジャロ語とワンジラ語(豪州西北部)の資料を分析した。角田三枝(研究協力者)とともにLingua Pax Asiaの2005年度国際シンポジウム(2005年6月11日、カナダ大使館)で、ワロゴ語の復活運動について報告した。報告の題はAttempt to Revive the Warrongo Language of Australiaである。2006年3月に豪州のタウンズビルへ行き、ワロゴ語の復活運動に協力した。それを通して、言語復活における言語の構造的な側面(音韻、文法や語彙の習得)と社会言語学的な側面(言語に関する意識、言語の使用の実態)を調査した。 堀江(研究分担者)は、アジュクル語の条件節、補文、関係節において共通して用いられる従属節マーカーekeについて母語話者と共同で研究を行い、(i)条件節においてekeが用いられる場合の意味的制限、(ii)条件節、補文、関係節において共通に用いられるekeと、日本語の副詞節、補文、翻訳調の文体における関係節表示に共通して用いられる日本語の「ところ」との対照研究を行った。(i)の成果は『関西言語学会第30回大会論文集』に堀江、パルデシ、カウル(印刷中)として出版される。(ii)の成果は7月に韓国ソウルで開かれた第9回国際認知言語学会議で、Horie, pardeshi & Kaulとして発表した。
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